「みじかい」

ほんとは、
自分に才能がないことなんて、ずっと前からわかっているのだ。
そうかい、じゃあ才能ないならどうするよ?

10代の頃は無根拠ナ自信っていうのがあって、
誰もが自分の未来は光り輝いているはずだと信じて疑わない。
それこそまさに若さの力なんだと思うが、
それに乗じてなんだかわけわかんないうちに事をなすことができれば、
しめたもんだ。
だけど大半はその波に乗れなかった奴なわけで、それが20代になって、
10代には信じて疑わなかった無根拠ナ自信にも若干の疑惑が生じて来るんだが、
まあなんとかなるだろう、くらいはそれでもまだまだ残っているのである。
けれども、
30の声を聞いたあたりから、
もしかすると、これってヤバいんじゃないの?
とか
いつか本気を出せるだろう、
とか
思い始めてきて、
すでに大人になってから十分経っているくせに、まあだ「大人になったら」
なんて思っている。

時間だけはすべての人に平等にあるってことはわかってる。
過ぎてしまったことは取り戻せないってことも。
だけど、
そこには実感が伴っていないから、
ほんとうのところではなにもわかっちゃいないんだ。
だから、
40代になっていよいよこれはヤバいことになってきたぞ、
と焦り出す。
焦ってもダメだ。
何も積み上げてきてないんだから。
もうあとは50でも60でもおんなじだよ。
じゃ、あきらめるのか?
いや。
やっぱ、あきらめるにも踏ん切りがつかない。
ぐずぐずな感じでどんどんばばあやじじいになってくんだよ。
と、だいぶ投げやりな感じでいたら、
なかなかいい文章が目にとまった。
にんげん、自分の限界を知ってからが勝負だってさ。
ちょっとだけ、晴れ間が見えたような気がした。

さあおまえ、
どうするよ?