「いなかでは」

ロンドン市内のEarl's CourtにあるAvisで車を借りて、いなか道を走っている。
近頃ではぜーんぶネットで予約ができるから、便利なものである。

車を借りてすぐ、国道に相当するA4に乗り、そのまま高速道路のM4で西へ向かった。

わたしは古い遺跡を訪ねることが好きだ。
つわものどもが ゆめのあと、である。

その昔、ここでどんな人々がどんな暮らしをしていたのだろうか。
以前はよくそんなことを想像してみた。

いまはあまりそんなことには興味はない。

2年前にアルゼンチンを旅行したとき、とても単純なことに気がついた。

人というのは、朝起きて、仕事に出て、うちに帰って来て家族と食卓を囲む。
この繰り返しが生活なのであり、また、これを毎日繰り返すことができることが幸せなのだ。
そして、それはたぶん、どこの国でもいつの時代でもあまり変わっていないはずなのである。

Stonehengeに来るのは、確か3度目だと思う。
ここは吹きさらしなのでいつ来ても風が強い。
少なからず、わたしが来た日がおだやかだった試しはない。

耳元で風がうなる。うなるうなるうなる。